SKPレターから「世代間連鎖」

 / さっかーせんせい日記 

今年最初のSKPレターからです。少々内容が硬いなぁと思いましたが、坂戸幼稚園でもこれから2歳のお子様のプログラム「くれよん」や「双葉会」の募集を行っていくに当たり、ちょっと読んでおいてもらいたいと思いましたのであえて記しました。少し耳が痛い?部分もあるかもしれませんが興味のある方はご覧下さい。

世代間連鎖

令和2年最初のSKPレターです。今年もたわいのないことをつらつらとお届けしてまいります。さっかーせんせいってどんなことを考えてるの?何を思ってるの?そんなことに関心を持ってるんだ!にちょっとでも興味のある方は読んでみて下さいね。

 

さて、初っ端のレターではありますが、少し内容が硬くなります。しばらくお付き合い下さい。今回のお話は「世代間連鎖」についてです。

 

ある新聞記事で、米国で始まった「親子相互交流療法(PCIT)」と呼ばれる心理療法を導入している医師のお話が書かれていました。言うことを聞かないなど行動に問題を抱える子どもとの関係づくりや、虐待を繰り返す親の再発防止に効果があると書かれています。そして、これは親子二人での遊びを通じたプログラムで、その遊びの中で子どもに遊びの主導権を握らせ、自尊心を高めるのが狙いで、親子間の肯定的な感情を増やし絆を強めた後、子どもの問題行動を減らすため親は適切な指示の出し方を学ぶものだそうです。

 

どうして親だけでなく親子でのプログラムなのかと言うと、近年の虐待件数の増加の要因として、虐待を受けた親が子を虐待する世代間連鎖が起きているとの指摘もあるからだそうです。

 

ところで、2月に坂戸幼稚園では「園内子育てセミナー」を開催します(残念ながら在園児の保護者様のみ対象です)。外部から講師の先生をお呼びしお話してもらうのですが、今回開催するに当たり在園保護者様(PT役員様)にどのようなテーマでお話をしてもらいたいかアンケートを取りました。そうしたところ、「叱る」「叱り方」にまつわるお話をしてもらいたいという答えがとても多かったのでちょっとびっくりしています。

お子さんが言うことを聞かない、何回言っても繰り返し、「もぉ!」というお悩みがひしひしと伝わってきて胸が痛みました。「叱る」ことについて聞いてみたいという願いに共感もしました。私は叱ってもいいと思っています。理由を添えて・・・なんて時と場合によっては思っていません。会津の「什の掟」ではないですけれども「ならぬものはならぬ」とたしなめたり叱ったりすることもあるでしょう。

 

ただ、それが何のため、誰のためかを叱る時に一度息をのみ込んで言葉にすることは大切だと思います。お子さんの成長のためなのかそれとも親の欲求を満たすためなのか、周囲の方に迷惑がかかるからなのかそれとも親が周りの目を気にするからなのか、です。子どもたちは大人、先生や親の言うことを見透かす能力を持っています。子どもだからと言ってあなどってはいけませんよ。そうして見透かした子どもは、見透かしたように育つのですね。そして見透かした子が親となり、また見透かされていく。まさに世代間連鎖です。

 

でも、連鎖ですから断ち切ることだって可能なはずです。「これが絶対」という有効な手立てというものはないのでしょうが、私なりに考えますとやはり「褒めて」「認めて」あげるということに行きつきます。ちょっとした瞬間の可愛さを言葉にしてささやいてあげる、何気なく上手に出来たことを耳元で認めてあげる、ほんの少しのお手伝いに「助かったわぁ」とお子さんの顔を見て笑顔で答えてあげる、そうした些細なことを見つけられるのは親でなければできません。

一朝一夕には子どもは育ちません。少しずつの繰り返しなのではないでしょうか。そう、繰り返し、硬い鎖は一気には切れません。ちょっと鋸を引いては一息つき、また引いていくものなのです。

 

このレター、あいだみつをさんのこの言葉が頭の中を行ったり来たりしながら書いていました。「育てたように子は育つ」

 

byさっかーせんせい