理事長だより 7月

 / 園長だより 

久しぶりの「理事長だより」更新です。新型コロナウィルスの影響で6月はのびのびつうしんを2回発行することとなりました。そのうちの2回目の理事長だよりをアップします。東京都も埼玉県も感染者数が急増し、第2波が本当に心配になってしまいますが、通常保育が始まった子どもたちは大人の心配をよそに、園庭で教室で笑顔を振りまき遊び、生活してくれている子どもたちに心の底からありがたく思います。今回の理事長だより、少し辛辣なことをお伝えしている部分(傘さし登下校)もありますがお許し下さい。

これからの子どもたち

梅雨寒の言葉どおり一枚薄手の上着を羽織って丁度よいという日もあれば、この時期特有の湿気が肌を覆う日もあり、体調の管理が難しい季節です。

様々な自粛が緩和され始め、幼稚園も一斉登園が始まり、園内は子どもたちの歓声、笑顔、時には親御様恋しさの泣き声がこだまして、それはそれはにぎやかです。でも、考えてみれば、分散登園から始まった6月の保育、特に年少組は数えてみれば2週間と少しの日数しか登園してきていないのですよね。例年であれば4月中の子どもたちなのです。6月だから、2ヶ月経っているのだからと錯覚してしまいそうですが、まだまだ自分を表出し始めている頃なのです。

これからさらに幼稚園生活に慣れてくるにしたがい、集団生活という中で自分の意のままにできないもどかしさを感じ、友だちとの衝突が増えてくるのもこれからです。そのような子どもたちとの生活をしていくに当たり、保護者様にお読みいただきたいおたよりを今回はお届けしたいと思います。平成29年のびのびつうしん7月号の園長がお伝えしているものです。『思いやる心を育てるために』

(前略)新年度が始まり2ヶ月半が経ち、新しい生活、新しいクラスや友だちにも慣れ、子どもたちが大きく動き出しています。それは、興味のあることへの挑戦だったり、人との関わりであったりと様々です。毎年のように6月から7月にかけてはケンカや衝突といったトラブルが続発するのも、子どもたちが外へ外へと気持ちや行動を広げている証拠です。

集団生活の中では、自分とは違った考えや意見、価値観や性格を持つ人と出会い、共に生活するわけですから、当然、衝突やトラブルが起きてきます。親の立場からすると、やはり心配、悩みの種、やってもやられても気になります。「お友だちとは仲よくね。ケンカをしてはダメよ」と、日頃ご両親に言われて育ってきた子どもたちですが、子どもの立場からすると、これは立派な自己主張、自我の表れですのでやめるわけにはいきません。

しかし、だからと言って何でもOKでも、奨励するものでもありません。相手への伝え方(言葉)や行為にもルールがあるはずです。そのルールは何でしょうか?改めて考えてみる必要がありそうです。私自身は、人として許されないこと、明らかに危険であることを置いています。人として許されないことの中には、理由なく一方的、複数で単独に向かう、フェアでない等、様々ありますが、相手の存在をリスペクトしないということもそのひとつです。

子どもたちはまだまだ「自己」中心的な価値観の中にあり、また他者に自分の「主張」を正しくスムーズに届ける術を知りません。だからこそ、どうしてその行為に及んだのかという「理由(気持ち)」をしっかり聞き、受け止め、更に相手の立場に立ち物事を考えられるように導き、善悪を考えたり、「主張(気持ち)」を正しく伝える術を知らせ学ばせていくことが大切ですし、そのことには幼ければ幼いほど繰り返しの経験とその時間が必要です。経験を取り上げるのではなく、様々な経験の中から自分の痛みと相手の痛みを感じ考え、本物の思いやる心を育てて欲しいと願っています。

全ては、心を動かせるかということにつながると私は思います。人は人との関わり、集団の中で生きているのですから。

傘さし登下校

耳(目?)を疑いました。ご批判覚悟で書きます。小学校で登下校の際に熱中症予防のため「傘さし登下校」を認めるというものです。新型コロナウィルス感染拡大防止対策として社会的距離確保と暑熱対策(傘をさしている時はマスクを外してもよい)を図るために各地(坂戸市も)で生徒にお知らせされました。

『文部科学省「学校における新型コロナウィルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を受け』と書いてありますから、きっと教育委員会では慎重に協議されたうえでの通達なのでしょう。それでも、言い出しっぺが誰なのかは定かではありませんが、どこか“ノリ”を感じてしまうのは私だけでしょうか。

「マスクしてこの暑さじゃ子ども、やってらんないわよねぇ」「そうそう。日傘さしていければいいのに」「あ、それいいじゃん。傘がぶつからなければ距離も取れるし。距離が取れればマスクも外しちゃっていいんじゃない」「熱中症も防げるし、距離も取れるし、一石二鳥ね」「決まり!」まさかこのようなやりとりであるはずがなかろうことは百も承知していますが、どこか「9月入学」の喧騒に近いものを見てしまうのです。

このようなことを私が言うのはおこがましい気がいたしますが「ちょっと違うんじゃないかな」「本質はそこじゃないだろう」と。

小学校教育現場でも新型コロナウィルス対応の多大なご苦労があろうことは拝察いたします。けれどもこの傘さし登下校については(9月入学もですけれども)「本当にこれでいいのか」と立ち止まって考えていただきたかったというのが本心です。

一介の幼稚園理事長風情が何を知った風なことを言ってる!はい、私はバリバリ昭和生まれの頭の固い人間です。付いていけません。

理事長(さっかーせんせい)浅見 斉