ちょっとずつの積み重ね【SKPレターから】

 / さっかーせんせい日記 

月に先生方の健康診断があります。もちろんさっかーせんせいも受診しますが、最近はもう嫌気がさしています。なぜかって、このメタボ体質がどうしても改善しない。生活習慣を少しでも見直せばと思うのですが、この年齢になるとちょっとやそっとでは脂肪くんはバイバイしてくれません。思いきり息を吸ってお腹を引っ込めて腹囲を測ってもらうのはもう飽き飽きです。

 

そこで!脂肪くんとの決別はさっさとあきらめて、硬くなってきた(元々からだは柔らかくない)この体を少しでも柔軟にして、シルバー太りでもこんなにカラダは柔らかいんだぜと自慢できるものを身に付けようと始めたのがストレッチ(まったくの独学)です。

 

目指せお相撲さん(お相撲さんはとっても体が柔らかい)とばかりに意を決して始めたのがちょうどゴールデンウィークの初日。最初は「痛ててて」の連続で、まるで関節や筋にセメントでもくっつけたのかと思うくらい曲がりません(苦)、届きません(悲)、付きません(泣)でした。

ところが、毎日(この原稿を書いている段階で27日目)痛がりながらも続けていると、「おや?」と感じられることが少しずつ出現してきました。届かなかったつま先に指がかかるようになってきた、あんなに遠かった床が目の前に見えてきた、どうがんばってもひねれなかった腰がねじれるようになってきたのを実感できるようになってきたのです。

 

あー、毎日ちょっとずつの積み重ねがこの達成感につながるのだなぁと幸福感に浸っているこの頃ですが、よくよく考えてみると、これは坂戸幼稚園の子どもたちに願っている育ちの姿なのだよなと改めて感じました。

 

えば、坂戸幼稚園で毎日体操活動を行っているのはこのお便りが届いている保護者様なら既にご存知のことと思います。子どもたちはぱっと開いた脚でべたっと床にお腹と頭をくっつけてしまえるほど柔軟性があったり、勢いのある見事な側転をしたり、ブリッジや逆立ちで歩けちゃったり、跳び箱も8段を軽々と跳んでしまったりしますが、最初からそのような姿であるはずがありません。

 

それではどのようにすれば出来るようになるの?残念ながらこの体操活動を全国に広めているコスモスポーツクラブさんとのお約束でお話しすることはできません。けれども間違いなく言えることは、毎日のちょっとずつの繰り返し、積み重ねが子どもたちのこのカラダの成長につながっていることです。

戸幼稚園では「できる、できた」という結果よりも、それまでに子どもたちが感じるたくさんの体験、事柄、出来事というプロセスにこそ成長があり、言い換えれば、体操を指導するのではなく、その体操活動を「通じて」何を育てたいかということになるのではないかと思います。カラダの育ちと同じくらい、子どもたちが少しずつの積み重ねの中で味わう達成感、友だちとの協力や共感という一体感、仲間を応援したり励ましたりする連帯感、毎日行うからこそ感じる明日があるという期待感、体を動かすって気持ちいいという爽快感等、子どもたちにたっぷりと味わい培ってもらいたい心持ちです。

 

皆様のお子様が赤ちゃんだった頃を思い出して下さい。初めてつかまり立ちをした時に、お父様も、お母様も、こんなにも嬉しいものだと満面の笑みでお子様を応援し、見守っていたことと思います。赤ちゃんもそれに応えるかのようによたよたと立ち上がりますが、その可愛いらしい笑顔はいつまでもお父様やお母様の記憶に残るものと思います。このつかまり立ちも、一年近く毎日々々ハイハイを繰り返しようやく出来るようになるのですよね。そのハイハイの毎日を見つめて育ててこられたこそ、その喜びも一入になるのではないでしょうか。

 

少し大きくなられたお子様の今の子育てはどうですか?ついつい目の前の「できた」だけに目がいきがちになっていませんか?大人のモチベーションで子どもを動かしていませんか?結果だけを求めれば、子どもだって結果だけを追う姿に育ってしまいますし、注意や進言してくれる大人がいないところではお腹の中でペロッと舌を出してしまう子になってしまいます。なぜそうするのかという理由を丁寧に伝えていけば子どもだってちゃんと理解してくれるものです。ただ、これも一朝一夕にはまいりません。繰り返し繰り返しの積み重ねです。

 

さーて、今日もストレッチで体を伸ばすぞ。体を柔らかくするためではなく、健康で豊かなこれからの人生のために!

byさっかーせんせい