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大津事故から考える【SKPレターから】
/ さっかーせんせい日記
大津市で散歩中の保育園児と保育者たちの列に暴走した車が突っ込こんだ事故から約1ヶ月が経過します。大変痛ましい事故で、亡くなられた園児のお子さんには心から哀悼の意を表します。
この事故は決して他人ごとではなく、坂戸幼稚園の園児たちにも起こりうるかもしれない事故と言えます。それは、坂戸幼稚園の園児も園外保育に出掛けることもありますし、それと共に先生と歩道を歩いたり、交差点で信号を待ち渡らなければならない機会も多々あるからです。
「園の外に出なければいい」確かに園外での活動をしなければ、今回のような事故に会うことはないでしょう。けれども、保育時間の長い保育園や園庭のない保育施設では、散歩や近隣の公園に子どもたちを連れ出さないわけにはまいりませんし、室内だけの保育では子どもの健やかな成長を望むべくもありません。
園庭のある坂戸幼稚園ではどうでしょうか。幼稚園の中で、日々体を動かして遊び、園生活を送ることはできますでしょう。しかしながら、地域社会との接点を持ち、地域も子どもの成長や幼稚園生活の大事な環境であると捉えますと、やはり園の中だけでの保育や生活だけでは足りません。
先日も、地区幼稚園協会の観劇会の帰り道を、年長組の園児は坂戸市文化会館から幼稚園まで徒歩で戻ってまいりました。大津市の事故を受け、より安全に歩行できる道順を選び直し、教員間で子どもの命を守りながらどう歩くか、交差点ではどのように待つか等を再確認しながら当日子どもたちと戻ってまいりました。もちろん、子どもたちには出発前に安全な歩行についても伝えました。
また、3学期の年長組お別れ遠足では、池袋のサンシャイン水族館まで電車を乗り継ぎ、池袋の街中を歩き行ってまいります。慣れない街中で、それぞれの交差点では私たち担任ではない先生が大急ぎで先回りをして、人や自転車、車の往来を確認し、横断旗をかざしながら子どもたちを渡らせます。池袋という人通りの多い街中ですので少々緊張しますが、子どもたちもそのような状況を理解しながら、それでも会話を弾ませたり、街中での発見をしながら歩いています。
また、大津市の事故を取り扱った新聞記事の中ではこのようなことも書いてありました。ある幼稚園での園外保育時、歩き方やルールなど保育者の指示に従って歩かせたことについての振り返りで『「歩いている時に限らず、保育者の指示に従うばかりになってしまうと、子どもたちが何かに気付いたり、新しいことを発見したり、自ら考えたりしなくなってしまうのでは」という課題が出てきた』と。
安全を確保し、命を守るには先生の指示に常に服従させていればその確率は高まるかもしれません。けれどもそこからは、この記事にある通り、子どもたちが自ら考えて行動する主体性の育ちにはつながらないでしょう。これは決して園外保育時だけの話ではなく、通常の保育にも言えることです。
地域や社会との接点を考えながら、子どもたちならではの気づきや発見を大切にし、微笑ましい会話ややりとりも味わい、加えて就学してからの徒歩での登校を見据え、安全確保と子どもの主体性発揮の両立を不断に考えていかなければならないと一層思っています。言うは簡単ですが、幼稚園や保育園の保育現場ではなかなか難しい命題であることも事実です。けれども、現代社会の中では取り組み続けなければならない事柄でもあります。
皆様のご家庭での子育てでも、これらの両立に頭を悩ませている親御様もいらっしゃると思います。ぜひお聞かせ下さい。そして共に考えていければと思っています。
byさっかーせんせい