シリーズ<あと伸びする力~非認知能力を育てるには>その3【SKPレターから】

 / さっかーせんせい日記 

前回は、非認知能力を育てるのにまず大切なのは、のびのびと遊び込むことが大切だとお伝えしました。そうしますと親御様からは「それじゃあ、幼児期はのびのびとあそばせていれば、それだけでいいってこと?」という声が聞こえてきそうですが・・・。それについて二つの観点からお伝えしてまいります。ひとつめは・・・

 

うは言っても「しつけ」が大切なのでは、わがままな子になってしまうのでは、という親御様の心配です。マシュマロテスト(1個のマシュマロを食べずに一定時間我慢できたら、もう一個マシュマロをもらえる)では、我慢できて2個目をもらえた子は、その後成長してからも我慢する力を持ち続けたという追跡調査結果も確かにあります。けれども、我慢する力を育てるのには、厳しいしつけはむしろ効果的ではないとも言われています。

 

それは、厳しく叱られるだけでは、怒られるのが怖いからしただけなのであって、本質的に自分の気持ちをコントロールできたわけではないのです。我慢はすなわち自分の気持ちをコントロールする力なのです。

 

例えばその1、坂戸幼稚園では午前中いっぱい朝の会もせずに遊び込みます。満足するまで十分遊んでいるからこそ、気持ちを切り替えて次のことに向き合うことができます。そう、この気持ちを切り替えられるきっかけ(選択肢)があれば、子どもは意外に主体的に自分の気持ちをコントロールできてしまうものなのです。

 

例えばその2、スーパーマーケットで「買って」と泣き叫ぶ子どもに「そこに置いてくからね」と言っても、子どもは今度は置き去りにされる恐怖でいっぱいになってさらに泣き続けてしまいます。それよりは「今日いっぱい歩いて頑張ったから、おうちに帰ってアイスを出してあげちゃおっかなぁ」と気持ちを切り替えられる選択肢を出すといった具合です。

 

もうひとつは・・・。どんどん、思う存分遊ばせてあげて下さい。けれども、ただ遊ばせておくだけではなく、豊かな文化に触れることも大切です。遊びの中の豊かな文化、そう、絵本の読み聞かせなどはどうでしょう。絵本を親子で楽しむことで、そのコミュニケーションから自分が愛されているという信頼感が形成され、自尊心の確立にもつながります。

 

間違えてはいけないことは、絵本を「お勉強」として与えたり、早く一人で読めるようになるために「読ませる」のではないということです。もちろん、学齢期になって本好きになることにつながるかもしれませんし、学ぶ力の基盤にもなります。それよりも大好きなお父さんやお母さんに読んでもらう絵本を通して、想像力を膨らませたり、安心感いっぱいの中で安らぐという感覚の育ちを大切にしてほしいのです。

 

「うちの子、ゲームばっかりで絵本に誘っても見向きもしません」確かにタブレットやゲーム機は幼児期の子どもたちにも浸透してしまっていますから致し方ありません。ゲームを止めさせるための絵本と考えないで下さい。ゲームをしないで絵本を読み聞かせるのにちょうどよい時間があるではないですか。それは寝床に入った時です。横になった子どものかたわらに寄り添って読んであげて下さい。途中で寝息を立ててしまうことがあるかもしれませんが、それでもいいではないですか。続きは明日ね、とそっと絵本を閉じればいいだけのことです。私も娘たちが小さい頃は寝る前によく読みました。一緒に“落ちて”しまうことも多々ありましたけど(笑)この上ない幸せなひと時を感じていました。

※このおたよりは『非認知能力を育てる あそびのレシピ』大豆生田 啓友著 講談社を参考にしています。

夢中でどろんこで遊ぶことで、子どもは集中力や感性を高めることができると言います。坂戸幼稚園の子どもたちは本当にどろんこ大好きです。雨上がりの次の日はどろんこ部隊があちらこちらでお庭をこねくります。ですから、園庭はけっこうでこぼこです(苦笑)けれども、それは子どもたちが遊んでいる証拠。トンボで園庭をならしつつ「よしよし」と思うさっかーせんせいです。

そもそもどろんこはとても気持ちがよくリラックスでるんです。お父様もお母様もたまには童心に帰ってどろんこあそびを一緒にしてみて下さいね。

byさっかーせんせい