さっかーせんせいだより10月

 / 園長だより 

さっかーせんせい、一応理事長でもあります。なんかこっ恥ずかしいから「さっかーせんせいだより」にしちゃいました。今月の「のびのびつうしん」からです。

【素敵な運動会でした】

月行われた第71回秋のさわやか運動会では、保護者様、ご祖父母様並びにご家族様にご参観いただき大変ありがとうございました。子どもたちも大好きなお父様やお母様、おじい様やおばあ様からの沢山のご声援と拍手に、心を躍らせ、胸を高まらせて競技、演技していましたね。

 

今回は前日が雨天となり、一日の延期とそれに伴う開始時間の後ろ倒し、プログラムの割愛等、様々な運営へのご理解、ご協力もいただきました。そして、開催後にいただきました「喜びのお声」にも、沢山の喜びの言葉、感動の思い、私たち教職員にまでも励ましのお言葉を頂戴して感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

 

子どもたち、とてもいい表情で運動会を満喫していましたね。初めての場所(校庭)にもかかわらず、むしろそれを受け入れ、楽しんでしまおうという気持ちの弾みが伝わってくるようでした。

 

年少組さん、私ども教職員もそうですが親御様なら皆様入園当初を思い出しながら目を細めてその成長を実感されたことと思います。まだまだあどけなく走り、踊る様子は本当に可愛らしく、できるならばいつまでもその姿のままでいて欲しいと思ってしまうほどでした。

 

年中組さん、クラスごとの競技、演技に心を躍らせる年ごろになり、勝負にもこだわり始めました。自分たちが年少さんだった頃のことなどとうに覚えてなんておらず、年中組としての自分たちをたっぷりと感じているのだろうなという姿をたくさん見ることができました。それがすなわち一年という月日の成長なのでしょう。

 

年長組さん、この運動会を境に小学校への進学を担任は強く意識し始めます。その意識には、子どもたちが真に感じてもらいたい自分との“向き合い”があります。懸命に全力で取り組むこと、仲間や自分を信じてあげること、友だちと協力して成し遂げようとすること等、その中では、成功体験や楽しいことだけではなく落胆や悔しさもあったことでしょう。けれども、そのひとつひとつを実感し、直面しながら子どもたちは成長していくことを目の当たりにさせてくれた年長組の運動会でした。

 

回の運動会で私が思いを強くしたことがあります。それは「比べてはいけない」ということです。子どもは生まれ月が変わるだけでも違いますし、幼稚園という集団生活はあるものの、それぞれ違った子育て感のお父様、お母様、家庭のもとで育ち生活し、DNA(遺伝子だけのせいにするのはどうかとも思いますが)だって異なるわけですから、一人ひとりが違って当たり前、得手不得手があって当然なのです。

 

もちろん、その年齢ごとの発育発達の概観は押さえておかなければなりませんし、それに沿った成長を希求することは先生として欠くことのできない務めです。親御様ならなおさらのことだと思います。しかしながら、前述の通り「あの子が速いのだから、うちの子だって…」「あの子ができるのだから、うちの子はもっと…」と比べ、求めることは無意味と言っては言い過ぎでしょうか。

 

もし比べるのであれば、「前のその子と今のその子と」という観点ではないでしょうか。それこそが、園長が常々お伝え続けている過程の育ちではないかと思うのです。その過程の中で、子どもたちの良いところ、上手くいったところ、頑張ったところをたくさん見つけて、褒めて、自信と自尊感情を高め伸ばしてあげることを子どもたちの前に居る親御様はじめ私たち先生も大事にしなくてはいけないのではないかと思うのです。

 

今回の運動会は、まさにそうした子どもたちの姿、保護者様方のまなざしが感じられた本当に素敵な運動会でした。

【子どもと想像力】

動会後の強い雨の日でした。事務室前のアクリル屋根にバチバチと音を立てて次から次へと当たる雨粒を見上げじっと眺めている子がいました。「よっ、Fくん。どうした?」と尋ねますと、「さっかーせんせい…、これはさ、きっと宇宙人が空からマシンガンを打ってるんだよ」

 

先日の年長組園外保育で、「みんな搾乳はしたの?」と聞きました。するとみんなで「やった、やった!」そうして盛り上がる子どもたちの中でTくんが「牛のおっぱい、なんかすげぇやわらかくて気持ちよかったよなぁ。カブト虫の幼虫みたいだったよぉ」

 

どもたちの想像力とはなんて詩的なのでしょう。大人では考えも及ばないような表現をしてくれ、私たちを「なぁるほど」と何故か納得させてしまうのですよね。

 

ある本によりますと、想像をしたりすることは、例えば雲を見て「雲でおにぎりを作って雪合戦する」というような隠喩も、現実から一歩自分を切り離して、空想の世界に入り、現状を別の観点から説明するというとても高度な脳の発達のなせる業だとあります。

 

そして「ウソ」や「言い訳」も想像力の働きが大いに関係しているともあります。想像力を駆使して、その場にできるだけ矛盾しない範囲で、自分を正当化できる「言い逃れ」を考えるからだそうです。

 

ですから、大人から見ればバレバレの「言い訳」や「ウソ」の一つひとつに目くじらを立てずに、「おぉ、脳みそがちゃんと育ってるな」と私たちもその想像力で感心してあげるくらいがちょうどよいのかもしれませんね。

理事長 浅見 斉

※「パパは脳研究者」池谷裕二著 クレヨンハウス