シリーズ<あと伸びする力~非認知能力を育てるには>最終回【SKPレターから】

 / さっかーせんせい日記 

連続投稿、恐縮です・・・。シリーズでお伝えしてきました「非認知能力を育てるには」いよいよ最終回です。

間が空いてしまいましたね。尻切れトンボにはさせませんよぉ。と言いましても今回が「非認知能力を育てるには」いよいよ最終回です。まずはこれまでの復習です。①非認知能力は数値化しにくい思考、気持ち、心のことで、その時すぐにではなく後になって出てくるチカラのことから「あと伸びするチカラ」とも言われている。②非認知能力を育てるには、「遊びが学び」といわれるこの幼児期世代にとって、どれだけ遊び込む経験をしたかが大切。③そしてその遊びも、大人が指示や口出しをする遊びより、子どもが夢中になって主体的にやろうとする遊びが伸ばす。おおまかにまとめるとこのようなものでした。

 

さて、最終回の今号は「非認知能力さえ育てれば成功なのか?」ということです。確かに今回皆様にご紹介している内容のベースとなっている本※1には、『事実、非認知能力がその後の成長・成功につながることが様々な研究から報告されています』とあります。確かに非認知能力(=社会情動的スキル※2)をしっかりと持ち合わせている人とそうでない人とを比べればそうした研究報告がなされるのはむしろ当然でしょう。だからと言って、このチカラを育てることだけに躍起になるのもいかがなものかと思います。この本にも『ひとりひとりの子どもすべてがそうなると言っているわけではありません。人の成長や幸せは、それほど単純なものではないのです』と続いています。

 

そこで視点は「子ども時代の“今”」となります。お子様が“今”意欲的に過ごせたり、他者と豊かに関われたり、“今”を幸せに感じられている過程にありますか、それを大切にして子育てをしていますか、ということになります。その“今”は、子ども時代だけではなく、大人になっても大切なことだからです。子ども時代にやわらかく感じ、育てたその感覚(素地)は、大人になっても決して裏切りませんから。

 

それを証拠に『将来のために非認知能力を育てることを考えるのではなく、子ども時代の現在の毎日が満たされるために、子どもに向き合うことが大事です。その結果、子ども時代の「現在の幸せ」が、その後の幸福感につながっていく』と本は結んであります。

 

最後に、「うちの子、遊び込ませてこなかった…。もう手遅れかしら」などと決して思わないで下さいね。人間は生涯を通して発達するものと言われています。いつの時期においても、人間は非認知能力という大切な力を育み、発揮することができます。だって「あと伸び」の「あと」はその人次第でいくらでも変わるのですから。シリーズのご笑読たいへんありがとうございました。

byさっかーせんせい

※1 非認知能力を育てるあそびのレシピ~0歳から5歳児のあと伸びする力を高める~大豆生田啓友・大豆生田千夏著 講談社

※2 社会情動的スキル(a)一貫した思考・感情・行動のパターンに発現し、(b)フォーマルまたはインフォーマルな学習体験によって発達させることができ、(c)個人の一生を通じて社会・経済的成果に重要な影響を与えるような個人の能力。【目標の達成】忍耐力、自己抑制、目標への情熱等【他者との協働】社交性、敬意、思いやり等【情動の制御】自尊心、楽観性、自信等。

双眼鏡づくりは、坂戸幼稚園では双葉会の時によく行う「作る」あそびです。2歳児の親子プログラム双葉会ですから、お母さんが手を貸して作るのですけれども、出来上がった双眼鏡を子どもたちは、それはそれは喜んで覗き込みます。焦点を絞って自分の見たいものだけが見れて、なおかつその色合いが変わる(色セロファンを貼っています)のですもの、その子だけの視野で、その子だけの想像力で見られるのですから、まさにその子にとっての“魔法の”双眼鏡ですね。